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妄想ロマンス 2

私が本当にたどり着くべき場所は何処ですか。



『 妄想ロマンス 弐 』



ずっと一緒だよ、誓って嘘なんかじゃない。





兎さんの家は、森の近くの山手に在りました。
玄関の扉から庭を抜けて、森へ入る道が一本有ったので
私はその道を行く事にしました。
それにしても『チェシャ猫』って何だったのでしょう…?
でも、、、何処かで・・・聞いたことが有る気がします・・・。
色々考えながらも、私は鬱蒼とした森に入りました。


10分くらい歩いた頃でしょうか。
目の前に大きな楠の木が立っている分かれ道に出ました。
そして、その木の枝には、紫とピンクのシマシマの猫が座って居るのです。
これが兎が謂っていた『チェシャ猫』なのでしょうか。
でも、ピンクだしなぁ・・・しかもシマシマだしなぁ・・・と、色々な事を
頭にめぐらせて居ると、不意にその猫に声を掛けられました。


お嬢さん。

へっ?! は、はい! 何でしょう?

お嬢さん。チェシャ猫は私ですよ。

そ、そうなのですか! 優しい方の兎さんから聞きました。

知ってますよ、見てましたから。

えっ?! は、はい・・・。

見ていましたよ、というか今でも見えます。
何ならお嬢さんが落ちてきた所から実況しましょうか?

い、いいえ、結構です。大丈夫です。

ハハハ、可笑しな人だ。
所でお嬢さん、お嬢さんはこれから何処へ行かれるのですか?

それが、何処へ行けば良いのか、解らないのです。
其れを教えて貰おうと思って、貴方を探していたもので・・・

お嬢さん、それは私もわかりませんよ。
知っているのは、『時』だけです。

チェシャ猫さん、その『時』とは何の事なのですか?

お嬢さんはそんな事も知らずに、その懐中時計を持たれて居るのですか?
『時』とは時間の事ですよ。
まあもっとも、この国では余り時間の概念はありませんが。

そうなのですか?

そうです。
だって、ここの人間や生き物たちは、大人に成らないんですから。
時間なんて、幾らでも有るんですよ。



そういえばここはネバーランドだったんだな・・・。
私はさっきの兎の言葉を思い出しました。



それでお嬢さん、行き先は決まりましたか?

え、そんなの、未だ決まってません。

私が特別に、教えて差し上げましょうか。

いいんですか?

はい、だいたい、この木は『道しるべの木』ですからね。
ほら見て、矢印に行き先がたくさん書いてあるでしょ。


気には矢印の形をしたプレートがぎっしり貼ってありました。
そしてそのプレートには一つ一つ行き先が書いてありました。
『秘密の花園』『眠れる森の美女の城』『七人の小人の家(留守)』
やはり何処かで見たことの有る言葉のよな気がしました。
またしても脳に波紋が広がります。
しかし、その波紋は、この猫の言葉によって断ち切られるのでした。


お嬢さん、急がなくて良いのですか?

はい、特に急いではいませんが。

ではとっておきの近道をお教えいたしましょう。


そう言ってチェシャ猫は尻尾で木の幹をトントンと叩くと
木の幹からは木製の扉が現れました。
そしてまたその猫は、扉に現れたドアノブを尻尾で掴んで捻ります。

ギィィィ

古い洋館の扉のよな音を立てて、その扉は開きました。


さあ、お嬢さん、お行きなさい! さぁ!


チェシャ猫に急かされ、私は扉を潜りました。


さあ、お嬢さん、進んで! 進んで! さぁ!


また急かされる侭に二歩、三歩、と進みます。
お礼を言おうと振り返ると、チェシャ猫はシマシマが解けていくように
消えて、いなくなってしまいました。
そしてさっき通って来た筈の、あの木の扉も無くなっています。


仕方ない、前に進もう、そう思って顔を上げると
そこは壮大なお城の庭でした。


ねえ、アンタ、人の庭で何してんだい?


急に声をかけられ、驚いて振り向くと、
其処には女王様だとおぼわしき人物が立っていました。
肌は雪のように白く、睫は長く上を向き、頬は桜のようなピンクで
唇はバラのような赤をしていました。


ねえ、アンタ、アタシの声が聞こえないっての?

はい、聞こえてます、何をしているというか、迷ってしまって・・・

迷ったも何も勝手に人の敷地に入ってもらっちゃ困るわね!
アンタ名前は?

私ですか? あの、名前、記憶喪失みたいで、思い出せないんです。

何それ! アンタには名前が無いってのかよ! ファッキン!
アタシの名前は白雪姫。覚えときな! 何時かアンタを裁いてやるからね!

すいません、、、ここから出るには、どうしたら良いのでしょうか。

ああああ! イチイチ気に障る女だ! 
怒りんぼ!ねぼすけ!コイツを牢屋にぶちこんじまいな!


そう白雪姫が怒鳴ると、何処からか小人が二人登場して、
私を羽交い締めにしました。
そして庭を横断するよに、城まで引きずられ、
私は格子の付いた地下牢に入れられてしまいました。
私は白雪姫のハイテンションには勿論ついていけず、
牢に入れられてもしばらくボーっとした侭でした。


ここに入れられてどれくらい時間が経ったのでしょう。
そんなに長い時間は経っていないと思います。
どうしようか、どうやってここから出れば良いのだろう。
でもここから出られた所で、私には行く場所等無いのだし・・・

悶々とそんな事を考えていると、
さっきの小人が、また地下牢にやって来ました。


おい!おまえ!出ろ!


怖い顔をした方の小人が地下牢の鍵を開けながら私を怒鳴りつけます。


今から裁判らしいよー


眠そうな目をした小人も言いました。


私は渋々、地下牢を出て、小人に連れられて歩きました。
階段を上って、大きな広間のような所に通されます。
そして、裁判所のよな様式のお部屋に入れられました。


お前はそこに座るんだ!

怖い方の顔をした小人がまた私を怒鳴ります。
促されて見た席は、被告人席でした。

私は訳の解らない侭その席に座ります。
法廷はトランプの兵隊や小人で埋め尽くされていました。
そして裁判官役の小人がカンカンと合図をすると、白雪姫が入廷して来ました。
黄色いパフスリーブで紺のワンピースを着ています。
カンカン、また裁判官役の小人が合図をしました。
どよめいていた法廷内が静かになります。
そしてその小人は声を上げました。


今から、名前の無い女の裁判をはじめる!
まず、白雪姫様、罪状をお願いします。

この女はアタシの庭に勝手に入ってたんだよ! 不法侵入だ!

有罪だと思う者、挙手。


法廷内に居る者に挙手が求められます。
するとその瞬間、法廷内の誰もが手をあげたのです。


満場一致で名前の無い女をは有罪とする!


裁判官役の小人が、また声を大にして言い渡しました。
会場からは拍手が沸き起こります。


尚、処刑はこの後、広場のギロチン台にて行う!
みなのもの! 送れぬように集うこと!
では、解散。


言葉の終わりと同時にならされるカンカンという音に
皆が拍手をしています。
私は、殺されてしまう・・・!
何とか脱出を考えようとしましたが、この状況ではどう考えても無理!
無駄に足掻いた所で、このヤンキー上がりのよな白雪姫に殺されるのがオチです。
もうおとなしくしていよう、と思い、私は何の抵抗もしませんでした。



私は小人に連れられてギロチン台の在る広場に連れて行かれます。
法廷からギロチン台は直ぐでした。
舞台のよに高くなった位置にあるギロチン台を囲んで、群集が群れています。
皆は死刑執行を、楽しむかのよな目で見ているのです。


いよいよ私は頭に頭巾をかぶせられ、死刑執行のお時間です。
ギロチンの穴に顔と両手を入れます。
そして台には身動き出来ぬよう、鍵が掛けられます。
死ぬんだ・・・!いよいよ、私、死んでしまうのね・・・!!



では、死刑を執行する。


そう小人が言い放った時、私は何か、大きな手につかまれる感覚を覚えました。





ねえ、ねえ、起きて、ねえってばー。ねえー。
何時まで寝てるんだよ、早く起きろよー。
お昼寝してる場合じゃないんだってばー。出かけるんでしょー? ねえー
俺がちょっと出かけた間に寝ちゃってさぁ。ほんともう困るよー。


気がつけば其処は愛しい恋人のベッドの上でした。
真っ白なシーツに顔をうずめたまま長い間眠っていたようです。
やっぱ夢だったのか。


起きたー?


恋人が私の顔を除きこんで居ます。


豪華キャストだったよ。
私の、本当にたどり着くべき場所は、矢張りここだったみたい。


そう含み笑いで言うと、彼は不思議そうな顔で私を見つめて居ました。
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  1. 1988/01/17(日) 10:04:16|
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