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妄想ロマンス 1

私が本当にたどり着くべき場所は何処ですか。



『 妄想ロマンス 壱 』



幸せに、するからね。君は幸せに、成るんだよ。



例年よりも数段夏かった夏が終わり
秋の始まりを感じさせるよな肌寒い夜。
ぼんやりとした街灯に照らされたゴミ捨て場で
私は膝を抱え座って居ました。




私の頭はボーッと靄が掛かった様で、ハッキリとしませんでした。
私は、自分が誰なのかさえ、判らずに、
これからどうして良いのかすらも、解らずに、
其の場所に留まる以外、私に選択肢なんて無かったのです。
薄暗い街灯の下、自分の身なりを確かめると
私は白いフリルとレース満載のブラウスに、
水色の五線符と音符の模様が入ったジャンパースカートを着ていました。
足元を見ると、オーバーニーの白と黒のボーダーソックスに
靴は、黒くて、踵が欠けたよな形の木底のストラップシューズ穿いていました。



私はこれから何処へ行けば善いのでしょうか。
私は何処へ行く冪なのでしょうか。
そう、空虚な暗闇に問い掛けた所で、誰も答えてはくれませんでした。


そういえば、私は時計を持っていたじゃないか。
思い出して、ポケットから銀色の懐中時計を取り出しました。

・・・・・・・・・

その時計を見て居ると頭に、何か、波紋のよな物が広がります。
波紋に気を取られながらも、時間を確認すると、時刻は夜の11時57分でした。

もうすぐ真夜中か、そう思って私はあの場所から動かずに
ただただ目の前を横断している道路を見つめていました。


少し経った頃でしょうか。

タッタッタッタッタッタッタッタ

何かの足音が近づいて来ます。

タッタッタッタッタッタッタッタ ハァハァ 大変だぁ!

何かがすごく急いで、此方に向かって走ってきている様です。
かなり焦って居るようです。

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタ

目の前を何かが走り抜けました。
大きさは、ちょうど小柄な人間くらいでした。
しかし、目で追いかけた先にある、その後姿は、
どう見ても、明らかに、


・・・兎でした。

長い耳は明らかに不自然だし、短い足もどう見ても人間の物には見えません。
しかも脇には体に似合わず大きな金の懐中時計を抱えています。

何で真夜中に兎が二足歩行で道路を走っているのだろう・・・?
不信に思った私は、その兎を追いかけました。
私の前に居るのは、この一匹の兎だけ。
この兎にでも、望みを託すしか、私には無かったのです。



兎さん!兎さん!!待って!兎さん!!

お嬢さん!早く早く!急がないと女王様が殺されちまうよ!


やっとの思いで私は兎に追いつきましたが、
さすがは動物、走るのも速く、
私がこんな走りにくい靴をはいている所為も有り
同じスピードで走るのは、とても辛かったです。


兎さん!ねえ!なんでそんなに急いでるの?

お嬢さん!早く早く!早くしないと殺されちまう!!


その兎はもう走る事しか頭に無いようでした。
しかし、兎は200m程、全力疾走した地点で立ち止まりました。
そして急に足元にあったマンホールの蓋をあけたのです。


呆気に取られて、見ているうちに、
その兎はマンホールの中に飛び込んで行って仕舞いました。
マンホールって、下に下水が流れてるのでしょう・・・?
そう思ってマンホールの淵に手を付き、膝を折ってマンホールの中を眺めていました。
しかしどうでしょう、確かに水が流れる音が聞こえて居るにも関わらず
何故か兎が落ちた後に聞こえる筈の着水音が聞こえないのです。

私は意を決してそのマンホールに飛び込みました。


痛みや、汚水を覚悟して飛び込んだ筈のマンホール。
なのに、何故か何時まで経っても痛みも汚水も私に降りかかってきません。
唯、何時までも何処までも、落ちています。落ちています。落ちています!
最初は真っ暗だったマンホールも、
途中からは何かキラキラ光る物が埋め込まれた壁になり、
ランプや椅子等の家具が点在する部屋のよな作りに変わっていきます。
どんどんどんどん落ちているのに、落下しつづけている所為で
私は宙を浮いているよな気になりました。
あら、美味しそうなクッキー、
そう思い手を伸ばした時にはクッキーは遥か上空。
そんな時にだけ落ちているという現実を実感するのでした。


どれほど私は落ち続けたのでしょう。兎の姿も見えません。
此の侭落ちて行けば、私は地球の真中に出て仕舞うのでは無いのですか。
丁度その一抹の不安が頭を過ったとき、
バフッとものすごい音を立てて、私は何やら柔らかな物の上に着地しました。
辺りを見回してみると、誰かのお家のようでした。
そして私が落下した物は、大きな白いベッドです。
スプリングが馬鹿に成ったら、きっと私の所為だわ。
そう思い、居た堪れない気持ちに成っていたその時、
兎が再び私の目前に現れたのです。



私のベッドで何をしている!

あら、是は貴方のベッドなのですか。どうも、お邪魔してます。

早く出て行け!この家出て行くんだ!だいたいおまえは誰だ!

貴方が急げ急げと急かすから、付いて来たのではないですか!

ふん!そんな事は知らん!早くベッドから出て行き給え!



兎が顔いっぱいに憎しみの表情を浮かべて訴え掛けるので
私は渋々そのベッドを降りました。
そして兎に乱暴に案内されるがまま、屋外へと出ました。
そして、玄関を出た所で、さっきの乱暴な兎と瓜二つの兎を発見しました。


ねえ、兎さん、ここは何処なのですか?

え?ここかい?
ここは勿論、ネバーランドさ! 子供は永遠に大人に成る事は無いんだよ。

ネ、ネバーランド・・・?


何処かで聞いた事の有る名前のよな気がしました。
しかし私は何の記憶も持ち合わせていない唯の人間。
兎の謂う事を信じるしかありません。


ねえ、兎さん、
兎さんはそんなに急いで何処へ行くの?

私かい?
私はねぇ、眠れる森の美女を、あの山のてっぺんの孤城迄、迎えに行くのさ。

そうなのですか、、、それで急いで居られたのですね。

そうさ、勿論今も急いで居るけれどね!

あの、兎さん、もう少し待って下さい!
私はこれから何処へ行けば良いのですか・・・?

お嬢さん、それは『時』だけが知っているよ。
そして『時』と仲良しなのは、唯一、チェシャ猫さ。


兎はそう言い残して去って行ってしまいました。






続く
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  1. 1988/01/16(土) 10:02:41|
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